2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧
いま、ヤスオの目の前にいるのは、ホンモノのルパン三世。 ヤスオの中に緊張と当惑と、得体のしれない高揚感が巻き起こります。 ルパンがいる。 いま、目の前にホンモノのルパン三世が。 ヤスオの胸の鼓動は高鳴ります。 「コイツが..」 ヤスオが昂ぶる最…
「あ..お前..」 咄嗟にヤスオがワルサーP38を抜くよりもはやく、ヤスオ自身がワルサーを突きつけられてしまうという早業。 まぎれもなく、そこにいるのは「ルパン三世」その人でした。 ヤスオは固まります。 「おお~、おおおお、久しぶりじゃねぇか」 …
ローガン探索のため東京湾に潜ったヤスオは、ひとりの少年を拾い上げて来ます。 本人を見つけてこなくてどうするんだ、と責める次元の言葉を向こうに、少年を見つめるヤスオはその持ち前の直感からひとつの推測に至るのでした。 「こいつ、ローガンなんじゃ…
ヤスオからの予告状を受け、狼狽するローガン。 「事の重大さがわかっているのか!?」 ダースベイダーのようなボイスチェンジャーを介して、情報の漏洩の責任を問いただすローガンに対し、ナイトホークス社の日下部は言います。 「ご心配には及びませんよ、ロ…
難を逃れ一息つくタカシたち。 タカシはつぶやきます。 「たく..ルパン三世一斉検挙って..ルパンの名に泥塗ってんのどっちだよ..」 相棒に納まったもうひとりのルパンが言います。 「でも、まぁよかったじゃないですか、オレ、スッゲエ楽しかったもん…
群がったルパンたちの内のおそらくは誰一人として、「ホンモノのルパン三世」を知る者はいないことでしょう。 だから彼らや世間がいま、「ルパンらしい」とか「ルパンのよう」と云うときそれは、本当のところルパンという人物の過去の印象のことを、それぞれ…
強行突破を成したタカシとその舎弟分のルパンのふたりを待ち構えていたのは、世界中から駆け付けたルパンたちでした。 「あのさぁ、だからメーワクだって言ってんの!」 「大体、こんなにいらねえんだよ!」 「どんなヤツかと思って会ってみればサ、お前ぜんぜ…
日本へ向かう航空機の中。 ルパン出現の報告を聴いて久しぶりに東京に戻る銭形警部の姿があります 「香港、マカオ、シンガボール。ルパンが出没したというウワサを聞いて飛び回ったが、どれもこれもルパンの名を騙るニセモノばかり。」 「ほかの奴らはともか…
ルパンたちが騒動を起こしている同じ東京の片隅で、ヤスオは新しい「おもしろいこと」へのチャレンジを開始していました。 秘密の宝への王手。 ローガンのもとに届く挑戦状。 それは王がその狂気の生涯と引き換えにしてまで求めた、世界を支配するための「至…
「ルパンはどこだ?」と、ルパンたち。 そこにはもうお目当てのルパンはおらず、口を塞がれ縛られた刑事がいるばかり。 拘置所へ到着したルパンたちよりひと足はやく、万引き犯ルパンを連れ出したのはタカシでした。 彼もまた、ルパンに憧れルパンを装い演じ…
ヤスオがアイスキューブを標的に決めたころ、都内ではある騒動が巻き起こっていました。 ルパンの大量発生です。 きっかけはひとりの「ルパン三世」が、コンビニで650円相当の万引きをしたことでした。 ニュースでこのことを知った世界中のルパンたちは、…
若者たちが「自由で崇高な魂」に憧れたのは「時代」が閉塞したからだったのでしょう。 社会はもう、希望に燃えた夢見る少年たちを必要としていませんでした。 格差社会の広がりは、ヒトから夢を奪います。 何もない、何にもなれない、何を夢見て描いてもカン…
「チカラ」にその人生を翻弄されたふたりの男がいます。 ひとりは片山といい、仕事は刑事。 もうひとりは日下部といい、民間軍事会社ナイトホークス社の社長です。 ふたりはともに長崎の出身で、ひとりはその肉体に「チカラ」の刻印をきざまれ、もうひとりは…
その王は「すべて」を持っていました。 富も名声も、美しい伴侶も聡明な王子も、帝国も、何もかもを。 貪欲な王は更に欲しがるのです。 彼が最後に欲したもの、それは「世界の支配の権利」でした。 王の掌の中には、凝縮された世界の運命の鍵、神秘学のいう…
ヤスオがたどり着いた「おもしろいこと」。 ルパンが狙うのにふさわしいこと。 自分のすべてである直感力と情報の収拾能力、そして素早い判断力を以て、ヤスオはある「秘密」にたどり着きます。 全身全霊をもちいて、ある匂いをかぎつけたのです。 それは、…
朝焼けの中、東京へ戻る軽トラック。 無口なユキコと、とぼけたヤスオの道行き。iPodから流れる曲は「炎のたからもの」。 あの日、ヤスオのもとを訪れた峰不二子は言いました。 緻密な計画を練って、困難な仕事をやり遂げる。「あなたなら、大丈夫、しっ…
成り行きからしょうがなくユキコの実家を訪れたヤスオですが、心はそこにありませんでした。 今日までのほんの短い時間の中で起きた様々な「あたらしい人生」への感触が、彼の魂を虜にしていたのです。 ペアリング盗難事件の報道をきっかけに、自分の中に芽…
初めての大仕事を終えたヤスオが、いま、手にしているのは、盗んできた当のペアリングと求人誌です。 どちらの重さもはかりかねる自分がいました。 いずれも、いまのヤスオにとっての未来への指針です。 これから行く道筋の岐路が、たったいま目の前に大きく…
「先日、東都デパート新宿店宝石売り場で発生したペアリング盗難事件の真犯人が、防犯カメラの画像解析の結果、グリーンのジャケットを着たルパン三世とみられる男と判明しました。」 ラジオからはルパンの事件を報道する声。 ヤスオの面前には、いかにも持…
テレビからはサッカー日本代表を讃えるアナウンサーの声。 新時代がどうの、ヒーローたちがこうして生まれるとか、「彼らの未来は、日本の未来はまだまだ広がって行くのです」と。 ヤスオは反芻します。 ヒーロー、新時代、未来...どれも自分とは縁の薄い…
ヤスオには何もありません。 孤児として施設で育ったヤスオは、「悪いことさえしなければ」と諦められて見捨てられ大きくなって行きます。 ヤスオが暮らして来た日々は、格差社会の最底辺の現実の中にありました。 「今日を変えたい」と願っても、キモチの大…
この物語の中でヤスオのテーマとして使われている「Memoy of Smile」は、大野雄二先生がもともと山田康雄さん個人のために作った曲でした。 大野先生の快諾により本作への使用に至っているのですが、この曲以外にも主題歌となっている今井美樹さんの「炎のた…
宮崎監督は映画「カリオストロの城」において、ルパンとは?その本質とは?という問題に対する答えを描きました。 ここには多く、最初のテレビアニメ「ルパン三世」のファンが共感する「答え」が用意されていたのです。 映画は公開され、興行的に失敗します。 …
ルパン三世が生まれてからあっというまに、40年という歳月が流れました。 現在の多くのルパン三世ファンにとって、ルパンの存在は自分が生まれる前から既にそこにあったものなのではないかと察します。 そしてほとんどのひとにとってのルパン三世は、テレビ…
映画「カリオストロの城」の登場と同時に、テレビ版の新ルパン三世は終焉を迎えます。 ルパンとは何か?という問いに対する、新ルパンへのアンチテーゼがこの映画です。 エディットしたのは宮崎駿監督でした。 ルパンとは何か?という問いには、いくつかの回答…
ルパンに憧れた子供たちは、時の流れと共に社会人となり、やがて仕事とクルマと自分たちの生活の場所を手に入れて行きます。 そしてその代わりに、ある大切な何かを受け渡してしまっていました。 私たちはもう、「自由」に憧れることにすら理由をつけてしま…
さて、ルパン三世のお話のはじまりです。 実は私のYahooブログは、もともとこの「ルパン三世 Green vs Red」からはじまったのでした。 当時、どうしてこのお話を語りたかったかというと、そこらへんはけっこうカンタンな理由からでしたね。 みんながこのお話…
写真は無意味に凛々しい(笑)ピンゲーオ監督ですね、良いと思います(笑)。 監督のファッション、素朴で好きですよ。 さて、先にも書かせていただきましたが、いよいよ大阪アジアン映画祭です。 で、正直なところ、ジージャーの来日をおおいに期待していたので…
というワケで、ちょっと寄り道の企画のスタートです。 でも、ちょっとその前に.. もうご存じの方も多いとはおもいますが「レイジング・フェニックス」、大阪アジアン映画祭にて3月に2回、いよいよ上映です。 ここらへんも、NAOさんの「ハートは元気!」で…
みなさん、お元気でしょうか、シアンです。 期せずして、新規投稿となりました。 ほかでもないのですが、実はジージャーのお話が終わってから1カ月が経ったにもかかわらず、ありがたいことにこのブログのみなさんからの閲覧のペースが落ちないままなのです。…