ジージャー・ヤーニン応援ブログ

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ルパン三世 Green vs Red 3

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映画「カリオストロの城」の登場と同時に、テレビ版の新ルパン三世は終焉を迎えます。
ルパンとは何か?という問いに対する、新ルパンへのアンチテーゼがこの映画です。
エディットしたのは宮崎駿監督でした。
ルパンとは何か?という問いには、いくつかの回答が存在するとおもいます。
その「答え」のひとつとして、ルパンとは「山田康雄さん」御本人だという解があるとおもうのです。
事情を知るファンにはいまさらのお話ですが、良くも悪くも山田さんはほんとうにルパンそのものでした。
その山田さんの感想はやはり私たちと同じで、新ルパンへの不満は募っていたのだと聞いています。
山田さんは演技には厳しい人でした。
ご自身も実際、アフレコを声優の仕事ではなく演劇だと言われ、ミスを犯さないのです。
その真摯さは実際には、共演者へのかなりのプレッシャーにもなっていたと聞きます。
ある機会には、「絵」が出来ていない現場に怒り、録音を中止させたというエピソードも残っているほど(のちにゲストへの配慮だったと説明していますが)です。
こうしたアーティストとしての真剣さを持ち合わせるひとにとっては、商業ペースに乗って行く作品製作の仕事をこころよくは取れなかったことだろうと察するのです。
そんな最中、「カリオストロの城」が生まれます。
それはまた、新ルパンの締めくくりの時期に訪れた仕事でもありました。
宮崎監督は山田さんに、イーストウッドのようなシリアスを基調とした演技を要求するのですが、これに対して山田さんは猛反発します。
「ごちゃごちゃ言われたくねえよ!ルパンは俺に任せろ」と。
けれども映画の試写を見終わった山田さんはそのクオリティーの高さに感動して、「どんな無理な注文でもして下さい。やらせて下さい!」とわざわざ宮崎監督に頭を下げに行ったとのことです。
私にもそのキモチはよくわかります。
ルパンは、「カリオストロの城」で終わっているのです。
でも燻り続けます。
商業としての仕事の一貫として、テレビシリーズはその後もスペシャル版の回を重ねて行きます。
無情な時の流れの中、体調を崩して行く山田さんは、自分がもう「出来ない」となったときにはルパンの新作をつくるのは辞めてほしいと伝えていました。
山田さんの死は、地下鉄サリン事件の報道にかき消されます。
世代交代の訪れ。
ルパンの役は、自宅の留守電応答をモノマネのルパンの声で吹き込んでいたところに、山田さんご自身が電話をしてきてルパンの声で留守電メッセージを吹き込んだという親交からはじまった、栗田貫一さんが受け継いで行くこととなります。
その栗田さんがルパンを演じてからも、実にもう15年になるのです。
それなのに、栗田さんの姿勢は、究極の山田康雄のモノマネを目指す、というこころざしからブレることがありません。
録音の10日前からは、山田ルパンへのイメージ・トレーニングがはじまるというのです。
この誠意あふれる人物がルパンを受け継いだことを、山田さんはきっと草葉の陰で喜んでいるのではないでしょうか。