ルパン三世
ルパンたちがナイトホークス社で騒動を巻き起こしている外では、次元の操縦する飛行船がナイトホークス社の雇った傭兵の武装ヘリに攻撃を受けていました。 日常を嫌う者。特別な人間でいたいという若い思いのひとつの歪んだあらわれが、武装ヘリを操る傭兵の…
アイスキューブを奪われ焦りに顔色を失う日下部社長。 「なんかオマエたちは、返せ、返せって!」 いくつもの銃口に晒されたルパン三世が、アイスキューブの正体を匂わせます。 「おお、銃だらけだな、怖え怖え。だがな、イチバンおっかねえのはオマエが持っ…
日下部社長によって露になって行くアイスキューブ。 その様を俯瞰するヤスオたち。 「M4カービン持った黒服が3人と、銭形にタヌキおやじか」 「おーし」 大仕事を前にして気合が入るヤスオ。 最大のお宝、アイスキューブを目前にして、ヤスオはおもむろに…
次元の操縦する飛行船と、その飛行船に運ばれるフィアットの中のルパン三世。 赤いジャケットを着る彼は、ヤスオと不二子の会話を盗聴しています。 「銭形に先を越されたみたいだな」 「いいじゃない、アイスキューブの保管場所に案内してもらえるんだから」…
ナイトホークス社の社長室。銭形警部は日下部社長に詰め寄ります。 「ミサイルの発射に関してはすでに総理にも報告しとっとです。あなたも当然しっとるとでしょ」 「今日はその件で来たんじゃありません、ルパンが何を盗みに来たのか、そいつが知りたくて来…
「警視庁の銭形だ。アポはとってある、日下部社長にあいに来た。」 ナイトホークス社に乗り込む銭形警部。 その銭形を追うようにナイトホークス社を訪れたユキコ。 自らの正義を糧に、メディアの代表として真実を問いただす姿勢の彼女の前にも、黒服の衛兵た…
峰不二子の介抱によって復活したヤスオは、情報を集めるため銭形警部に変装し、警視庁にもぐり込みました。 元祖ルパン三世同様、銭形警部への変装は、ルパンのお手の物です。 ローガンの遺品が見つかり、情報が解析されれば、ホンモノの銭形警部は間違いな…
不安に駆られるユキコは警視庁の対策本部を訪れます。 取材に託つけて、ルパン三世にもっとも詳しい男、銭形警部に彼のことを尋ねたかったのです。 三上刑事に断られながらも執拗に銭形警部への取材をせがむユキコに、通りがかった銭形警部自身が「かまわん…
ルパンを追うもうひとつの目。 ユキコは胸騒ぎにとりつかれて、ルパンの生き字引と呼ばれる「紅屋」のもとを訪れていました。 調べれば調べるほど、謎に満ちていくルパンの存在。 彼の存在は何故かユキコを不安にさせるのでした。 「ルパン三世について調べ…
「タイヘンだ..」 勝鬨橋から姿を消したヤスオを追っていたのは、峰不二子の目だけではありませんでした。 「うっ、う、ルパンさん~(泣)」 ルパンは死んだだろうという人々のウワサに動揺し、半べそをかきながらヤスオの姿を探しているのは、タカシの子…
廃校の屋上、ヤスオの持っていたデーターを解析しようとして悪戦苦闘する次元の姿。 データーはまったく開かない様子。 持て余した次元は校内を散策、ひとり、誰もいない教室で惚けている赤ジャケットのルパンをみつけます。 「おう、次元」 「おう、じゃね…
「コラ、動かないで」 朦朧とした意識の中、峰不二子の幻想を見ていたヤスオの目前に、ホンモノの峰不二子が現れます。 「死んでたトコよ、感謝しなさいよね(笑)。」 ヤスオはようやく理解します。 峰不二子に助けられ、看病されていた自分に。 「でもたい…
銭形警部らの見守る中、勝鬨橋の上で対決するルパンとヤスオ。 ところがその刹那、接近して来た戦闘ヘリからミサイルが発射され、ヤスオの横を掠めてフィアットを直撃したのです。 残されていたローガンもろとも、フィアットは跡形もなく大破。 ヤスオもそ…
ローガンの制止をふりきって勝鬨橋の上、向かい合うヤスオとルパン。 「さあ、決着をつけようゼ」とルパン。 「いつでもどうぞ」とヤスオ。 ヤスオは武者震いを隠せません。 「ヤっべえ笑いが止まんねえ、コイツをやればオレは..マジかよ」 ヤスオの昂り…
「どうしたぁ、ルパン、そのくらいやれねぇと見込みねえぞ。やっぱお前にゃムリか」 ルパンの挑発に震えながら「うおぉー!」と、ワルサーを構え、発砲するヤスオ。弾丸はそれて目前のルパンにはかすりもしません。 「惜しいな」と、ルパン。 そのとき、勝鬨…
ヤスオは自分がグリーン軒に勤めていることを偶然だと思っています。 出身や学歴や賞罰で狭められた「可能性」に加え、生来の自由気ままな性格が災いして、ヤスオの就業選択肢はほとんど広がらないのです。 工場でヒトにドヤされながらする夢のない流れ作業…
都内某所にある古本屋「紅屋」。 そこの主人は、知る人ぞ知る「ルパン三世の生き字引」的存在とのこと。 グリーン軒の常連である紅屋の主人は、頼んだラーメンには手もつけずに、ビールだけを嗜み、ヤスオが気がつくと消えているという不思議な人物でした。 …
いま、ヤスオの目の前にいるのは、ホンモノのルパン三世。 ヤスオの中に緊張と当惑と、得体のしれない高揚感が巻き起こります。 ルパンがいる。 いま、目の前にホンモノのルパン三世が。 ヤスオの胸の鼓動は高鳴ります。 「コイツが..」 ヤスオが昂ぶる最…
「あ..お前..」 咄嗟にヤスオがワルサーP38を抜くよりもはやく、ヤスオ自身がワルサーを突きつけられてしまうという早業。 まぎれもなく、そこにいるのは「ルパン三世」その人でした。 ヤスオは固まります。 「おお~、おおおお、久しぶりじゃねぇか」 …
ローガン探索のため東京湾に潜ったヤスオは、ひとりの少年を拾い上げて来ます。 本人を見つけてこなくてどうするんだ、と責める次元の言葉を向こうに、少年を見つめるヤスオはその持ち前の直感からひとつの推測に至るのでした。 「こいつ、ローガンなんじゃ…
ヤスオからの予告状を受け、狼狽するローガン。 「事の重大さがわかっているのか!?」 ダースベイダーのようなボイスチェンジャーを介して、情報の漏洩の責任を問いただすローガンに対し、ナイトホークス社の日下部は言います。 「ご心配には及びませんよ、ロ…
難を逃れ一息つくタカシたち。 タカシはつぶやきます。 「たく..ルパン三世一斉検挙って..ルパンの名に泥塗ってんのどっちだよ..」 相棒に納まったもうひとりのルパンが言います。 「でも、まぁよかったじゃないですか、オレ、スッゲエ楽しかったもん…
群がったルパンたちの内のおそらくは誰一人として、「ホンモノのルパン三世」を知る者はいないことでしょう。 だから彼らや世間がいま、「ルパンらしい」とか「ルパンのよう」と云うときそれは、本当のところルパンという人物の過去の印象のことを、それぞれ…
強行突破を成したタカシとその舎弟分のルパンのふたりを待ち構えていたのは、世界中から駆け付けたルパンたちでした。 「あのさぁ、だからメーワクだって言ってんの!」 「大体、こんなにいらねえんだよ!」 「どんなヤツかと思って会ってみればサ、お前ぜんぜ…
日本へ向かう航空機の中。 ルパン出現の報告を聴いて久しぶりに東京に戻る銭形警部の姿があります 「香港、マカオ、シンガボール。ルパンが出没したというウワサを聞いて飛び回ったが、どれもこれもルパンの名を騙るニセモノばかり。」 「ほかの奴らはともか…
ルパンたちが騒動を起こしている同じ東京の片隅で、ヤスオは新しい「おもしろいこと」へのチャレンジを開始していました。 秘密の宝への王手。 ローガンのもとに届く挑戦状。 それは王がその狂気の生涯と引き換えにしてまで求めた、世界を支配するための「至…
「ルパンはどこだ?」と、ルパンたち。 そこにはもうお目当てのルパンはおらず、口を塞がれ縛られた刑事がいるばかり。 拘置所へ到着したルパンたちよりひと足はやく、万引き犯ルパンを連れ出したのはタカシでした。 彼もまた、ルパンに憧れルパンを装い演じ…
ヤスオがアイスキューブを標的に決めたころ、都内ではある騒動が巻き起こっていました。 ルパンの大量発生です。 きっかけはひとりの「ルパン三世」が、コンビニで650円相当の万引きをしたことでした。 ニュースでこのことを知った世界中のルパンたちは、…
若者たちが「自由で崇高な魂」に憧れたのは「時代」が閉塞したからだったのでしょう。 社会はもう、希望に燃えた夢見る少年たちを必要としていませんでした。 格差社会の広がりは、ヒトから夢を奪います。 何もない、何にもなれない、何を夢見て描いてもカン…
「チカラ」にその人生を翻弄されたふたりの男がいます。 ひとりは片山といい、仕事は刑事。 もうひとりは日下部といい、民間軍事会社ナイトホークス社の社長です。 ふたりはともに長崎の出身で、ひとりはその肉体に「チカラ」の刻印をきざまれ、もうひとりは…