ジージャー・ヤーニン応援ブログ

いいえ、女優ジージャー・ヤーニンを応援するブログですとも。

ルパン三世 Green vs Red 29

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ヤスオは自分がグリーン軒に勤めていることを偶然だと思っています。
出身や学歴や賞罰で狭められた「可能性」に加え、生来の自由気ままな性格が災いして、ヤスオの就業選択肢はほとんど広がらないのです。
工場でヒトにドヤされながらする夢のない流れ作業か、店長から締めつけを受けて苛立つばかりのファーストフードのバイトか、場末の飲食店の店番か。
「オレたちは違うんだって。悪いことさえしなければ上出来だって。」
子供のころからそんなふうに、絶望と諦めを刷り込まれて慣らされ、なるほど自分なんて、ロクなモノにはならないだろうさ、と、ヤスオ自身も思っていました。
だからシゴトについては、ともあれ他人に頭ごなしの言われ方をしないで済む、近場でお気楽なものがあれば、という答えとして選んだつもりだったのです。
ヤスオのキモチの中には、そんなしょぼい社会との関わり方なんてどうでもよく、もっとほかの何か、たとえば、想像も出来ないような「あたらしい人生」が見つからないだろうかという模索の思いが消えないのです。
ヤスオ自身の武器。
それは自分自身の直感力とアタマの回転と、自分を信じて引かない思い、つまり「意志」のチカラだけです。
孤児だった彼が瞳の輝きを失わないでいられたのは、ただ、その「思い」の故でした。
グリーン軒に身を置くこととなったヤスオは、その実は、徹底して観察され、試されているのです。
グリーン軒の主人は、引退した先代の次元大介
いまはケーブルテレビのボーリング大会3位を自慢する、ただのメタボのオヤジです。
もちろん、ヤスオはそのことにこれっぽちも気づいていませんが。
このグリーン軒と対を成すのが、紅屋。
つまりルパン三世を象徴する緑と赤をモチーフとする、ヤスオを囲むためのふたつの存在です。
紅屋の主人は、ヤスオを試し続けます。
考え方、発想力、着眼点、行動力、etc...ヤスオのすべての資質についてが、つまり、ヤスオが「ルパン三世」の後継者としてふさわしいかどうか、を。
紅屋の主人はヤスオの中に、次の、「ルパン三世を継ぐもの」の可能性を見出し、ヤスオ自身も気がつかないうちに、ヤスオの生活圏を囲いこんでいたのでした。