ジージャー・ヤーニン応援ブログ

いいえ、女優ジージャー・ヤーニンを応援するブログですとも。

創作 チョコレート・ファイター2 その2

イメージ 1

赤坂。
クルマのドアが開く。
レセプションに向うべく、着替え、ドレスアップしたレナが降りてくる。
エスコートしているのはタキシード姿のアキオ
「そうですね」と、言いながらレナに話を繋げるアキオ
歩き出す二人。
後ろを数人の黒いスーツの男たちがついて来る。
「いろんな強さがありますから」とアキオ。
「ただもし...」と続け、伏目に「もしも、何の代償ももとめない、無心の力というものを持つものがいたとしたら」
ゆっくりと振り向き、レナの視線を覗きこむアキオ。
「おそらくそれが一番強いでしょうね」と結ぶ。
静かに睨み返し、小さく、しかし吐き捨てるように「くだらない」、と、レナ。
「もとめるから強さが手にはいるんでしょ」
「何ももとめないで生きて行ける人間なんてどこにいるっていうのよ」
レセプション会場。
きらびやかな装飾と音楽がレナを迎える。
となりに立ちながらレナの表情をさりげなく覗いているアキオ。


レセプション会場の中、その片隅に立つ会場の空気に不似合いな東洋人がふたり。
加藤をみつけて会釈をする。
怪訝そうな顔をしてふたりに視線を向ける加藤。
アキオに指示を出し、ふたりの東洋人に接触しようとする加藤。
その様子を遠目に見ているレナ。


大きなおなかを抱えながらアパートの階段を上がって行くヨーコ。
そのうしろからゼン。
片手に買い物袋、片手をヨーコにひかれながら、視線はうつろで伏目。
ゼンのうしろから「あら、ちょうどよかったわ」と、ヨーコをみつけた近所の主婦(柴田理恵)が声をかけてきた。
「これね」と、パンフレットらしき書類を取り出しヨーコに渡そうとする近所の主婦。
「このあいだ言ってた、ほら」と、デイケアサービスの案内を渡そうとする。
「区の係のひとが手帳をお願いしますって」と主婦が続ける。
障害者手帳ね」
苦笑するヨーコ。
「あの..」とヨーコ。
「ありがとうございます、すいません」と続けるヨーコ。
「でも、この子、手帳ないんです」と視線をそらしながら頭を下げるヨーコ。
「...」間をあけ、察したように口をあけながら二度うなずく近所の主婦。
「ねえ、あなたもほんとに大変ね、おおきなおなかして、この子のめんどうもみなきゃいけないなんて」と近所の主婦。
「おまけに..」と言いかけて、ハッという表情になり、ふいに口を閉ざす近所の主婦。
「ああ、引き止めちゃってごめんなさいね、とにかくがんばってね、なんかあったら遠慮なく言ってね」と、後退るように去っていく近所の主婦。
途方にくれた様子で見送るヨーコ。
そのうしろでゼンがつぶやく。
「ありがとうございます、すいません、ありがとうございます、すいません、ありがとうございます、すいません」とめどもなく続いているゼンのひとりごと。
切なく微笑むヨーコ。
「覚えちゃったねえ、ユキちゃん、ダメよねえ、わたし」と、ヨーコ。