ジージャー・ヤーニン応援ブログ

いいえ、女優ジージャー・ヤーニンを応援するブログですとも。

創作 チョコレート・ファイター2 その4

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仕事から戻ったマサシに嬉々として話しかけるヨーコ。
ユキ(ゼン)の自閉症を治癒する方法が見つかったのだと大喜びで疲れたマサシに迫る。
特別な訓練施設に入ってクスリを出してもらい、200万円がかかるという。
マサシは無視し何も言わないが、ヨーコはその態度への不満をあらわにしてマサシを責める。
「どうしてユキちゃんを本気で治そうとしないの!お金が惜しいの!ユキちゃんがかわいくないの!?」と。
自閉症が治癒不可能な障害であることを納得するのに、マサシは5年の歳月を費やしたし、外観から受ける印象のため、多くのひとが最初はヨーコと同じように思い込むということももう知っていたので、マサシには言葉がなかったのだが、ヨーコは泣きだしてしまう。
「もういい!わたしがユキちゃんを治すの!」
飛び出してしまうヨーコ。

暗い階段をバッグを抱え、駆け下りて行くヨーコ。
涙をふきながら路地を歩いてコンビニの手前にさしかかると、後ろから、ふいにバイクの光。
気がついて振り向いたその瞬間。バッグを奪われ倒れてしまうヨーコ。

ふたり乗りのバイク。
嘲笑と歓声を残して去ろうとする。
前方に人影。
すれ違う、勘次とゼンと、勘次の仲間たち(ユキのファン自称するチンピラ4人組)。
戻ってきたところ、バッグを奪われる瞬間からの場面に、偶然出くわして見ていた。
「あかん!」と勘次。
妊婦である倒れているヨーコに「ヨーコはん!大丈夫でっか!?」と駆け寄る勘次。
瞬間、ゼンがいない。
気がつくと大きな音をたてて転倒しているバイクと、放り出されている二人組が勘次の視野に。
倒れ込む二人組、何者かの蹴りでさらに吹き飛ばされる。
何がおこったのかわからないまま卒倒するバイクのふたり。
ゼンが立っている。
わけがわからないままゼンと倒れている二人組をみくらべている勘次と勘次の仲間たち。
あっけにとられていたが、仲間のうちのひとり、リョウがおもむろに声をあげる。
「あは!スゲェ!ユキちゃん!スゲェ!」
呆然としている仲間たちが次第にいろめきたちはじめる。
その声にはまったく応じず、ヨーコに駆け寄りヨーコのおなかを撫で始めるゼン。
「赤ちゃん、おなか、赤ちゃん、大事..」
不安な顔はない。
感情をもたないうつろな表情のまま、おもうことを言葉にしている様子のゼン。
勘次に抱き起こされてしゃがみこんでいるヨーコが涙を流す。
「ユキちゃん、ありがとうね」

ヨーコの無事な様子を確認してほっとした勘次だが、あらためて転倒しているバイクをながめてつぶやく。
「物騒やなぁ、最近はこんなヤツらばっかりや、どないなっとんねん..」
ひっくりかえっている二人組とバイク。見下ろす勘次の視線。
バイクには「誠心塾」のステッカーが貼られている。