ジージャー・ヤーニン応援ブログ

いいえ、女優ジージャー・ヤーニンを応援するブログですとも。

未公開パート 3

イメージ 1

ゼンが借金を取りに行くエピソードでは、おおきくひとつ削られた回があります。
ある屋敷に、ムンとゼンが電車で訪ねて行き、例によって借金返済を申し出るのですが、ゼンを自分が招いた娼婦と勘違いした主人がゼンを襲い、別の部屋のモニターでそれを見たムンが駆けつけ、拳銃を持ち出されて格闘となります。
この屋敷での格闘シーンは、もともとのコマーシャルやメイキングでも出てくるものなので、本編に無いこのジージャーのハイキックを目にした記憶のある方も多いのではないかと思います。
逃げ出すゼンとムンですが、例によってお金を返してもらっていないと気付いたゼンが屋敷に戻ってしまい、またまた乱闘となってしまいます。
これらの積み重ねが、ラストのバトルへと至って行くわけですが、こうした削除されたシーンを紡ぎ直してみると、この物語の本質は「因果応報」にあるのだなあ、と感じてしまうところがあります。
ゼンの名は、「雪」という意味(タイ語の雪ではないそうなのですが)だとされています。
タイには雪は降りませんし、そうすると、「日本的」な名ということは繋がって来るのですが、果たして実際のところはどうなのでしょうね。
障害の問題や、復讐、血の病気や、混血、過去が現在を支配して行く、などなど。
その実は、深いテーマに基づいて描かれている映画ではあります。
それでもジージャーのあどけなさ、かわいらしさ、イノセンスな役柄の優れた演技などが、この物語をほの暗い闇の中に置き去りにさせませんでした。
この思いは、ピンゲーオ監督自身の感想にも近いのではないでしょうか。
結果として、この物語はジージャーが全面に活躍する軽快でスピーディーな格闘映画として成り立っています。
この物語の中では、その役柄設定から、ジージャーは笑顔を見せないのですが、観衆は何故かジージャーの笑顔を見た記憶を持ってしまいます。
このマジックが、ピンゲーオ監督にも及んだのでしょう。
映画「チョコレート」は、「チョコレート・ファイター」として、世界中にジージャーの魅力を振りまく、素晴らしい映画になり得たのではないかと思います。