ジージャー・ヤーニン応援ブログ

いいえ、女優ジージャー・ヤーニンを応援するブログですとも。

珈琲時光 2

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九分のゴールドラッシュが輩出した成功者に、台湾5大財閥のひとつ、顔(イエン)一族があります。
一族の長男は日本人と結婚し、ふたりの女の子をもうけます。
次女が小学校2年のとき、同氏は亡くなります。
癌でした。
そして長女は女優に、次女は歌手となって行きます。
一青妙さんと窈さんです。
一青窈さんは家族を題材とした唄を歌い続けます。
07年には、九分を特集したドキュメンタリー映画に自分の曲「大家(タージャ)」を提供し、そしてお姉さんはその作品のナレーションをつとめています。
九分という分岐点は、彼女にとってそういう特別な想いを置く地でもあります。
そしてその地を舞台とした映画「非情城市」を撮った監督が、04年に彼女を主人公とした日本を舞台とする映画を手がけることとなります。
小津安二郎生誕100年記念映画という、大きな意義を持つ作品でした。
それを、日本人ではなく台湾人の監督が、台湾生まれの日本人のアーティストを主人公として撮影する。
不思議なめぐりあわせだと思います。
主人公の名は井上陽子。
一青窈さんの「ヨウ」をかけながら、井上陽水さんから拾った名前ですね(笑)。
この作品の中では、台湾出身の日本の作曲家、江文也がとりあげられています。
これもまた、おもしろい題材の拾い方です。
台湾で生まれ日本で活躍し、歴史に翻弄され中国で迫害にあった人物です。
ひとつひとつの要素のなかに、隠されたメッセージが散見されます。
映画の中でとりあげられる東京神保町の風景は、わたしにとっても懐かしくなじみ深い景色です。
神田からお茶の水へ、古本屋街を散策して回った頃を思い出します。
そしてこの映画自体が、そういう懐かしい何かに包まれた、不思議な映画として仕上がっているのでした。
珈琲を飲みながらゆったりしたキモチで時を過ごすような。
まさに、「珈琲時光」ですね。