ジージャー・ヤーニン応援ブログ

いいえ、女優ジージャー・ヤーニンを応援するブログですとも。

景色

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叔母さんがダイアリシスから戻るのを待ちながらの昼下がり。
泳ぎに行きたいハルを母にまかせてプールで遊ばせながら、浮輪を持ち込んだと監視員から怒られる夏の日の午後。
ひとりシェラトンの入り口に腰掛け、吹き抜けてくるコナウインドにまどろんでいるうちにタクシーで戻って来た叔母さん。
お昼もずいぶん過ぎてしまって、食事のクーポンが無駄になってしまったけど、そのことは内緒にしておこう。
贅沢な一日を過ごしてるんだからね。
どこにも行けなくったっていいんだよ。
ここなら、どこにいてももよい風が吹いて来る。
それがうれしいから。

いつかまたハワイに行ってこよう。
もう母も叔母さんも、一緒につきあってくれる誰もいなくなったけれど。
それでいいんだ。
自分さえ、昔の自分ではないのだから。
それでもなんだか、あの風の中にあの日のみんながいるような気がするね。
どんな過去も、戻ることはできないもの。
戻ってはいけないもの。
人どころか、思いさえ、どこにもとどまらない。
それが人生。
後ろ向きに文句ばかり言っていたら、どうにもつまらないだけの人生。
くよくよするクセを弄んでいたら、それで終わってしまう人生。
お金も権利も、執着すればすべて砂になる。
暗いものを覗き込んで、遊んでいるうちに取り返しのつかないことになるような愚かなことには興味がないんだ。
私は先を急ごう。
でも、この思いを、あの風にだけは打ち明けてみたいものだ。
こころさえ、どこにもとどまらない。
なのに消せない思いが燻る。
悲しいような懐かしいような、不思議な思いの塊がある。
捨てるのもいいけど、少しだけ置いておこう。
大切なことは、できるだけ見えないところに隠しておこうか。