ルパン三世 Green vs Red 51
それを見たヤスオが噛みつきます。
「なめやがって、なんであんたまでグルグル巻いてんだよ」
「言ったろ、顔じゃねえんだ。つまり、現時点では双方ニセもんで、生き残った方がホンモノってワケだ。」
言い放つルパン三世。
それでは、ルパン三世をルパン三世たらしめているものとは何なのだろう？
ヤスオの脳裏をいくつもの疑問が過ります。
そして気付いてもいるのです。
いま、目の前にいるホンモノのルパン三世もまた、その年齢を考えればオリジナルであるはずもありません。
そしてそのルパン三世は、ヤスオの顔がオリジナルのルパン三世に「似ている」といいます。
ヤスオは孤児であり、「自分に顔が似た存在」とは無縁に育ってきた身です。
グリーン軒を訪れ、いつも自分を導く、生きていればヤスオの父親くらいの年齢不詳な男のことや、ユキコの祖母のこと。
いろんな想像が過ります。
しかしいまは、このことを意識の外に置くのです。
目の前に、自分の挑戦に応えるホンモノの「ルパン三世」がいるのですから。
ホンモノのルパン三世。
ヤスオが望むのと同様、ホンモノのルパン三世の意志を継いだもの。
その見本が目の前にいます。
ルパン三世に成るのは、ルパン三世に成ろうとするもの、諦めず求め続け、弛まずに挑戦を繰り返し続けて行く、粋でクールな「ルパン三世」という存在のすべてを背負うものだけなのです。
火蓋は切られました。
「生き残った方がホンモノ」と言ったルパン三世に対して、ヤスオは呟くのでした。
「へへ、おもしれえ。」
二人のワルサーＰ３８が火を吹きます！
