ジージャー・ヤーニン応援ブログ

いいえ、女優ジージャー・ヤーニンを応援するブログですとも。

アジア進出への演出

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「シーサンメイ」をとりあげたところで、次に、「拳児」です。
この作品は少年サンデーで連載されていた日本の漫画です。
原作は武術家であり僧侶の松田隆智先生。
日本における中国拳法の大家ですが、中国においても稀なる中国拳法の研究者であり実践家として、つとに有名な方です。
古い方では、同じく少年サンデーで連載されていた「男組」という中国拳法の出てくる漫画をご存じかもしれませんが、アレの監修をしていた方といえばおわかりでしょうか。
さて、「拳児」のこと。
前回とりあげたときは物語についてはあまり触れておりませんでしたが、これは実に骨太な大作で、ジージャーを主演に据えて映像化されるのにふさわしい作品なのです。
日中戦争時代に恩を受けた知人をたずねて中国に渡り、消息を絶ってしまった大好きな祖父を追い、高校生になった孫の拳児も中国へと向うのですが、そこにはたくさんの試練が待っていた、というものです。
ここらへん、主人公の拳児を、まずは孫娘に。
日中戦争を消して、タイと中国の関係に書き直して。
あとは、台湾、香港、上海から中国の奥地、イスラム教圏までいたるながい旅を軸に、さまざまな格闘技と強さのその意味を知る物語はそのままに、スピード感と壮大さを活かしながら映像化できるのなら、それはもうどんな国にもマネできない大作となることでしょう。
先日、テレビで韓国、中国、日本の映画のそれぞれを評するという番組が放映されていました。
番組の演出なのでしょうか、中国の方の意見は信じられないような愚かな見解だったのですが、公平な見解として詰まるところ、日本の作品の技術面、韓国の作品の勢い、中国の作品のスケール感というのが評価の対象となっていました。
たしかに中国を扱うことで醸しだされる「スケール感」というのは、マネできない壮大さを演出しうるものですが、中国側にまかせることでセンスを期待できないのも事実です。
ああ、そういえば昔、少林寺では犬を食べるシーンがしっかりかかれてたなあ(笑)。
そうした点を織りまぜ、うまくアジア発信の大作を描こうとするとき、主人公がタイ人というのはとてもおもしろい立ち位置であり、絶妙なのですね。
換言するなら、中国や韓国はこのお話しの主人公がもし日本人なら受け入れないのです。
別に自国の人間で物語はことたりるのですから。
でも、タイ人の美少女、しかもテコンドーのヤングチャンピオンで、カンフースターを尊敬する女優となればはなしはまったく変わってくるのですね。
おもしろいのではないかなあと思うのです。
むかし、武田鉄矢さんの映画で「刑事物語」というシリーズがありました。
このお話し、原作、脚本、主演のすべてが武田鉄矢さんです。
で、主人公の片山刑事は中国拳法「蟷螂拳」をつかうという設定なのですが、この拳法の習得のために武田さんは柔道で鍛えたもちまえの体力でもって、短期間で集中的にカラダを改造して行ったのでした。
そのトレーナーというか、お師匠さんが、松田先生なのです。
拳児の物語はフィクションではありますが、実際にはほとんど松田先生の自伝です。
映画「刑事物語」を観たお弟子さんたちが「武田さんが超低空の旋風脚をしてましたよ」と笑って語ったのを尻目に、「鉄矢のカンフーは目前で見るほうが迫力がある」と語られていました。
お正月映画となった2作目の「刑事物語」の公開の前に、来日したジャッキー・チェンがあるインタビューに答えた記事が雑誌に載っていたのをおぼえています。
日本で印象に残った映画は?、共演したいと思った俳優さんはいらっしゃいましたか? という問いに対して、社交辞令と女優さんの名前あたりを期待したインタビューに反しジャッキーは、「刑事物語武田鉄矢さんです」と述べたそうです。
松田先生という後ろ楯があることをジャッキー・チェンが知っていたとは思えませんが、ホンモノが醸しだすパワーは、かならず伝わるということだとも思うのです。
実はジージャーは、カンフー・アクションよりムエタイとテコンドーのワザがメインのアクションですが、こういう機会が得られて中国拳法を学ぶ本格的な機会に恵まれれば、それはそのまま彼女の財産になるとも思うのです。
テコンドーのアクションや空手的な演舞は、アクションとしては歳とともに痩せてしまうもののようにも思います。
しかしカンフーのアクションは、ジェット・リージャッキー・チェンに範をとるように、歳をとっても熟練して演出されうるものでもあります。
かえりみて、アクション・スターとしての寿命を延ばす方法が、この携わりからジージャーにも身につくであろうことが想像出来るのですね。
一挙両得、いろいろとベネフィットのおおきな作品となる「拳児」ですが、このタイトル自体、拳の道を究めようと歩む子、という意味ですので、アリですよね。
さてみなさん、どう思われます?