ジージャー・ヤーニン応援ブログ

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キャプテン・フューチャーの夢 3

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さて、そんなキャプテン・フューチャーですが、NHK版の音楽はジャズの大御所、大野先生の作です。
その大野先生の作曲作業の中で特に心を動かされる1作があります。
それは「おいらは淋しいスペースマン」という曲です。
ハヤカワの小説版「キャプテン・フューチャー」の訳者であり、のちにハミルトンの死後のキャプテン・フューチャー・ワールドを引き継ぐことになる野田昌宏先生の訳による、作中の詩をそのままに、大野先生が曲をつけたものなのですが、これがまあ、あきれるのです。

おいらは淋しい スペースマン
ひとりぼっちの スペースマン
故郷と呼べる 星もなく
おれを待ってる 家もない
星という星 月という月
ひとつ残らず 住んではみたが
やっぱりおれの 好きなのは
星から星への ひとり旅

戯れ歌の雰囲気をうまくかもし出した訳だとは思いますが、時代なりの陳腐さを纏ったままの詩です、箸にも棒にも、という感じです。
でも、この歌にヤラれてしまうのですね(笑)。
ヒデ夕樹さんが情感たっぷりに唄うこのなんでもない歌に打たれるのです。
帰る場所がなくなったことは、なんのせいであれ、もう、ただの事実だし、どこに居たってそこは自分の場所じゃないとも知っているさ。
ああ、やっぱり自分は、旅の途上にあるだけの人生を、何があろうとも選んで行くのだなあ、という歌です。
クルマを運転中のわたしの耳に、何の前ぶれもなくこの歌が流れて来たとき、わたしの瞼の奥にはわたしの人生が浮かんでしまうのです。
バカみたいなお話しですね(笑)。
大昔のアニメの挿入歌、おそらくは一万人にひとりくらいしか知らないような(笑)そんな歌に心を奪われました。
わたしの脳裏にキャプテン・フューチャーの夢が過ります。
そしてほんとうに純粋に、カーティスのことを思ってしまうのです。

友達はいない。
親もいない。
自分のことを、赤毛の世間知らずの若造だと知っている。
でも、自分を信じている。
心から信頼する仲間がいる。
彼らと、宇宙の果てまでも、信じることのために行く。
すべての世界の運命を背負っても、挫けることもなく。
なぜならそれが、正義だから。
そしてそれが、キャプテン・フューチャーの運命だから。

省みて、これはハミルトンの心情そのものだったのではないでしょうか。
わたしはいつか、キャプテン・フューチャーのビジュアルをあらたにして、この作品をたくさんのこれからのヒトたちに伝えたいと、心から思っていました。
シンクロという言葉を実感するときがよくあります。
この件にせよ、近年になって、ここにご紹介させていただいている鶴田謙二先生のイラストのように、あらたな解釈の手が加わる作業もはじまっていたりしますし。
カーティスのことを描いてみたいと思います。
そろそろ、そのシゴトをはじめても許されるのではないかなあ、とも思うこのごろです。