ジージャー・ヤーニン応援ブログ

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涼宮ハルヒの消失 1

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世の中には、物語の中で描かれる世界がとても緻密なもので、その世界の中のさらにその奥にまで物語が宿るというような作品がいくつか存在します。
たとえば一連のジェリー・アンダーソン作品は、実は裏設定としては、全ての作品がひとつの世界観に依存する物語に基づくものなのです。
同様に、デビルマンの世界もループし続けます。
この世界は、縦の軸としては「バイオレンスジャック」として、横の軸としてはいまなお派生し続けるさまざまな新解釈やスピンアウト作品として交差し、構成されるのです。
エヴァの世界は、もともとが緻密な世界観を構成するものでしたが、今回の一連の新作の世界が加わることにより、より深い世界を構築して行くことになることでしょう。
優れた物語には、こうした傾向が強く見られるのですが、エヴァに近い深さで世界を構築し続けるもうひとつのアニメ作品があります。
このアニメは出来がよすぎるのです。
縦横無尽に網がはられた世界の設定を上手に活かし、ひとつのモチーフがどんどん深いものになって行く作品、それが「涼宮ハルヒ」シリーズです。
この物語の設定はとにかく緻密です。
いや、ほんとはそれは「涼宮ハルヒ」をこまかく知っているヒトにとって出来がよすぎるということなんでしょうね。
もともとこのお話は、とても緻密なつながりの設定で出来ていて、そこに感心してしまうところ大なのですが、キョンを軸に語られるその物語を、ひとつの青春への郷愁とみてしまうと、それはなんとも切ないお話なのですね。
ともあれ、キョンたちの冒険もいつかは終わるのです。
SOS団と高校生のハルヒの物語がどれほどループを繰り返したとしても、です。
読者は10年を超えるであろう現実の時間を、彼らの冒険物語とつきあって過ごすことになります。
その間に浸透して来る、この物語の中の世界観は、緻密であればあるほど膨らみを持って行きます。
そういう世界観を持つ作品の、結晶のような劇場版。
それが「涼宮ハルヒの消失」です。
いろいろな、それこそクロスワードパズルとも言えるような伏線が、ひとつの作品を経るごとにさらに重ねられていくという上手さ。
涼宮ハルヒ」シリーズからは目が離せません。