ジージャー・ヤーニン応援ブログ

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蜘蛛の巣を払う女 2

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ドラゴンタトゥーの女」の4作目にあたる今回の作品「蜘蛛の巣を払う女」。
サヴァン症候群を扱う今作ですが、そもそもリスベット・サランデル自身が一種のサヴァン症で、人とのソーシャルな交わりに難があり、かつ天才ハッカーという設定です。
リスベットの生い立ちを追うと、そのせいで社会適合困難になってしまったような感もうかがえるのですけど、そのために天才になることはありませんし。
今回の物語では、さらに明瞭な自閉症のキーパーソンがとりあげられるので、リスベットの自閉症スペクトラムの側面は影をひそめます。
一方で、そのハッカーとしての天才ぶりと「闘う女」としての側面、自らの「血」の因縁から逃れられない、深い業へと立ち向かう姿はより強調されていきます。
こうしてその物語の素養をならべて気がつくのですが、これ、基本的には「チョコレート・ファイター」と同じなのですね。
リスベットのスタイルである、孤独でパンクで尖りまくりの生き方は、北欧の女性たちから多くの支持を受けたのですが、それは、それがカッコいいからというばかりの理由だけではありません。
女性の尊厳を踏みにじる、レイプの横行する北欧の現実への憤りが、多くの女性たちの共感を、つまりは「立ち向かう」ことへの勇気を喚起し、それがリスベットの生き方への支持となったのでしょうね。
このことは、原作のスティーグ・ラーソンの本作を描く動機の部分にも大きく影響するものでした。
ラーソンが亡くなり、そこで中断となるはずの本作でしたが、辛口批評のわたしの目をもってさえ「蜘蛛の巣を払う女」の出来は見事です。
そのおかげで、リスベットの物語は続くことがかなったわけですが、これは出版業界の経済的事情をこえて、世界中のファンへの無類のプレゼントだったのではないかと思います。
蜘蛛の巣を払う女」では、いよいよ、役者が揃った、という感が強いのですが、このまま継続されると、やはり映画作品への発展は必須となることでしょう。
ジージャーに、このことを教えてくれる誰かは、そしてなによりこうした機会が世界の片隅で生まれている現実を伝えてくれる誰かはほんとうにいるのでしょうか?
伝えることの重さ、大切さ、祈るようにいま、感じています。