徳弘正也先生の2005年の作品「バンパイア」は、昭和からはじまって
平成26年までを描く物語です。
この物語は、実に「読み手の感性や知識」に応じてそのおもしろさを深くしてしまう、特別な作品だと言えます。
徳弘先生の描く他の多くの作品も同様に、モノゴトを良く考え、知れば知るほどに、とめどなくその深みを増すものが多いのですが、その完成形がこの「バンパイア」かもしれません。
もちろん、大傑作なのですが、この物語の奥深くに潜むメッセージは、実はとうに哲学の域に達しているのですね。
それでもなお、物語の立脚点は「現代」の現実にあります。
実に、深いのです。
