エヴァンゲリヲン新劇場版 破 2

雅楽の奏演の加速理念に、序破急(じょはきゅう)という考えがあります。
この概念を実際に曲としたものは、実はほとんど存在していません。
世阿弥が導入したことにより完成したこの概念は、「序」のなかにまず「神」があり、「破」の中に物語の展開として「武士」と「女」と「狂女」があり、そして「急」として「鬼」が顕れ、物語は加速し、終結へと向かいます。
序破急というテンポ自体は、例えれば起承転結のようなものだと考えればよいのですが、抑揚の中に潜む必然には、そうした平易な物語の起伏を示唆するものに留まらない、独特の形而上的哲学的側面が感じられます。
アニメ作家であり映画監督である庵野秀明さんは、自身のテレビアニメ作品「新世紀エヴァンゲリオン」の完成形として「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」の展開をすすめていますが、これらの作品の構成に、この「序破急」という表現が用いられています。
すでに公開済みの「序」「破」についで、次回はテレビシリーズを大きく逸脱したストーリー展開となる見込みの「Ｑ」と「急」の公開が予定されています。
もとより、深い示唆を含んだ同作ですが、またまたおもしろい概念に着目しての展開となったものですね。
願わくば、描かんとするところを思うまま、あますところなく描ききれますように、と祈る次第です。
次の展開を楽しみにしています。